先日、NPO法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会が主催するファンドレイジングセミナーシリーズに参加する機会がありました。全6回行われる本セミナーシリーズは、多くのNPO及びNGOが活動する上での財政問題を大きな課題として挙げていることを踏まえ、支援者から寄付を集める行為であるファンドレイジング(資金開拓)を以下に効果的に行うかについて、特に支援者の事業への理解促進および関係性を構築するための「コミュニケーション能力」に焦点を当てたものです。その第1回「はじめよう!戦略的ファンドレイジング」は、株式会社ファンドレックスの創立者であり、また、同分野で高い人気を誇るブログ「ファンドレイジング道場」の主催者でもある鵜尾雅隆さんが講師として話しをされました。内容としては、ファンドレイジングについての考え方やNPOを取り巻く環境変化、実際にファンドレイジングを成功に導くための原則や方法などについて、具体例を交えながらお話されました。ご本人の米国においてファンドレイジングを専門とする団体で勤務された経験、或は国内NPOのファンドレイジング支援を行った経験を踏まえたお話は、非常に実践的かつ明解なものでした。特にファンドレイジングは単なる寄付集め行為では無く、より多くの理解者を巻き込むことにより社会を変革する手段であること、また、日本で寄付が集まらない理由が欧米社会のような寄付文化が根付いていないからでは無く、そうした経験と習慣が無いだけであり、必ず日本型のファンドレイジングモデルは存在しうる、という点については、強い共感を覚えました。私自身も、以前からそうした文化や習慣の違いを国内のNGOやNPOの発展度合いの低さに結びつける議論は違うのでは無いかと考えていました。国際開発業界においても、ユニセフを始めとして、セーブ・ザ・チルドレン、プラン・ジャパンなど多額の寄付集めに成功しているNGOが出てきていますし、また、海外で大規模な自然災害が発生した際等には、多くの個人が寄付を自発的に行います。また、最近では、CSRという名目の下で、多くの企業が社会的問題への貢献を企業の経営戦略のコアに据え、国際開発分野の活動を行う企業も増えてきています。しかしながら、現在ではまだまだこうした活動はまだまだ一部のNGOやNPO、企業が行っている段階であり、今後社会に幅広く浸透していくためには、寄付の出し手と寄付の受け取り手との間に立って、お互いのニーズや立場を理解した上で仲介するような仕組みやアクターの登場が不可欠であると考えています。また、そうした仕組みが持続性を持つためには、ファンドレイジングをそれぞれのNPOやNGOの事業活動の重要な一環として、各種リソースを適切に配分していくというビジネスとしての視点が不可欠であると考えています。そうした観点から、ファンドレイジングのコンサルティングを本格的に実施するファンドレックスは、NGOやNPOを通じた社会サービスの提供が日本で本格的に認知され実現していく際に重要な役割を果たして行くのでは無いかと考えています。日本の国際開発分野における地位向上やODA市場の活性化を1つの使命とする弊社においても、NPOやNGO活動の裾野が広がり、1つの習慣として根付いていくことは、より多くの人々が国際開発に興味を持ち、そして自らが主体的に参加していくという土台作りを促して行くことに繋がると考えており、今後とも興味を持って同社の活動を見ていきたいと考えています。Devex日本支店高橋 宏太郎
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