コンサルタントのためのサバイバルガイド

個人で業務を展開するコンサルタントにとって、クライアントを獲得するのは容易なことではない。だが、そのなかで耐え抜き、人脈を広げ、信頼を積み重ねれば、仕事を拡大することができるかもしれない。 マニラで活動するコンサルタント、マヤ・エレーラ氏が新米のコンサルタントのために、業界で生き抜くための知恵を紹介してくれた。 “良いコンサルタントの武器は専門技術だけではない” コンサルタントは通常、その人の持つ専門性、専門技術を買われているものだ。しかし、同様に必要となってくるのがプロジェクトに関わる人々をマネジメントする力である。意見の対立を乗り越え、チームをひとつにまとめなければならない。なかには、公共部門の仕事のように困難を極めるものもある。官僚的な制度のなか、ひとりの人間が、ありとあらゆる役所にいる人たち――小さな町の市議会議員から中央官庁の役人に至るまで――を説得して回らなくてはならないからだ。そして何より喜ばせなくてはならない。 “一度失ったお金は取り戻せても、一度損なった名誉は回復しない” コンサルタントにとって評判とは命綱である。だからこそ、一度口にしたことは必ず実行すること。そして、高水準のサービスを提供し、高度な行動規範を維持すること。一度始めたプロジェクトは最後まで成し遂げることが必要不可欠だ。一度に何個ものプロジェクトを抱えて自分の首を絞めてはならない。特に報奨金目的にそのようなことをするのはもってのほか。欲は人を破滅に導く。 “雑務にも手を抜かない” お金がかかっても良質な仕事をすること。金銭的なロスは後から補うことができる。しかし、あなたの経歴にたった一度でも汚点がついてしまうと、それを回復するのは極めて困難だ。また、同業の仲間やクライアントの陰口を言ってはいけない。「風の噂」という言葉があるように、言葉は人づてに広がり、やがて当人の耳にも必ず入ると思ったほうがいい。 “失敗はつきまとう。入念なチェックを” 仕事の出来はその人の評判となる。へたな仕事をして良い評判が立つはずはない。業界関係者はどんな失敗も見逃さないし、10年経っても忘れないものである。商談の場でも、ちょっとした会話のなかでもその失敗の話を持ち出されるようになってしまう。人には自分の良いところを覚えていてもらいたいものだ。 “常に学び、常に人脈を” 新しく講座を受けるなど、自分の知識を深め、情報収集をするための勉強の時間を確保するようにすべきである。最新のトレンド、ニュース、技術についての情報を知っておくだけで、クライアントはあなたのサービスに違いを見出すと同時に、誠実なコンサルタントだという印象を受けるはずだ。また同様に、できるだけ大勢の人間と交流の輪を広げるよう心がけたい。人脈を広げたら、育てること。どんな時に誰の力が必要になるかわからないのだから。 “友は慎重に選べ。敵はより慎重に見抜け。不必要な敵は…” 世界は狭い。だから外交術が大切になってくる。切羽詰まった状況では、仲間やクライアントと言い争いになることもあるだろう。だがそこで縁が途切れてしまう事態は絶対に避けるべきだ。その後に不協和音も残してはならない。一挙一動、一言一句、すべてにおいて不用意な言動、発言をしないように気をつけたい。繰り返すようだが、言葉は必ず人づてに広まる。悪い評判が立たないようにしたい。 “熱心なチームほど貴重なものはない” 自らが経営する会社においても、また単発のプロジェクトにおいても、チーム全体がやる気を持ってプロジェクトに取り組んだ場合は良い仕事ができる。クライアントを満足させるのと同様に社員にも満足する環境を整えてやることだ。たとえば、仕事への取り組み方を評価に加えるのもひとつの手だろう。良い仕事をした社員には報奨金を出し、そうでない社員にはペナルティーを科すといった具合に。それはあなたの公平さを示す手立てにもなる。 “腰を据えるなら、楽しみながら” 仕事のなかに喜びを見出そうとするのは悪いことではない。むしろ、気が狂いそうな激務のなかで、あなたが正気を保つために必要なことであるかもしれない。 JPN