社会企業は典型的なビジネスベンチャーではない。これらの企業は、社会改革者としての目標を掲げ、企業タイプの実践的で結果主義の方法を組み合わせた個人によって運営されている。基本的に、社会起業家であることはパーソナリティの問題である。「社会起業家精神(Social Entrepreneurship)はある特別なタイプです。」と、アショカ財団のエリン・フォルノフは説明する。「それはユニークな考え方とユニークなアプローチなのです。」社会起業家は開発セクターの一部として認識されることを望むが、彼らの取る戦略は伝統的な非営利団体の方法とは異なるかもしれない。セバスチャン・ガティカは、アフリカやアジア、ラテンアメリカの地元コミュニティが、旅行者に自分たちの製品を販売することを可能にしたトラヴォリュージョンを共同設立した。このベンチャーへのガティカのアプローチは、社会企業のハイブリッドな性格をうまく表している。「私たちは経済の一部になりたいのです。」と彼は言った。「私たちの商品やサービスを販売する上で競争力を持ちたいのです。」ガティカは続ける。「しかし私たちの主要な目標は社会的なものであり、利潤最大化とは異なります。私たちの目標はコミュニティが持続可能な方法で、自らを向上させることなのです。」アショカの設立者であるビル・ドレイトンは、社会起業家精神のコンセプトを創った功績がある。彼によると、誰もが社会起業家もしくはチェンジメーカーになれるという。しかしそのための道のりは平坦ではない。アショカと同じようにエコーイング・グリーンは社会企業家に、プロジェクト推進のための資金援助と専門的な支援を提供するフェローシッププログラムを作った。しかしフェローとなるために、応募者は難しい選抜プロセスを突破し、革新的、創造的、自発的であること、そして倫理的な本質を持っていることなどのある一定数の基準に応えなければならない。以下に社会起業家の芽を出すことを成功に導く秘訣を紹介する。自分の信念に熱心であれ社会企業家精神は新しいアプローチのため、そのコンセプトの価値と成功の可能性を秘めているということを人に説得することは難しいだろう。「夜遅くまでリビングルームでノートパソコンを開きながら働き“ノー”と何回も聞かなければいけない社会起業家の話をよく耳にするでしょう。」とフォーノフは言う。エコーイング・グリーンがフェロー候補を選抜するに際し、彼らに組織の発展のためにフルタイムのコミットメントを求め、そのために前職を辞めることを求めている理由はまさにこのためである。すなわち社会起業家は自分のプロジェクトを心の底から信じ、強く自発的でなければならないのである。「朝起きて、提案書を書くのはあなた自身なのです。」資源の不足した地域に健康や教育のための安くて使い易いソーラー機器を提供しているワン・ディグリー・ソーラーの設立者ガラヴ・マンチャンダは言う。「何をすべきか教えてくれる人はいないのです。」ターゲットとなるコミュニティにスタート時から基盤を作ることたいてい社会起業家は、彼らのプロジェクトで助けようとしているコミュニティに集中的に関わっている。例えばガティカは、社会的に取り残されたコミュニティのために働き、その市場アクセスの欠如を分析しているNGOでの経験からトラヴォレーションを思いついた。同様に、マンチャンダはワン・ディグリー・ソーラーのアイディアを思いつく前に、リベリアの保健省で2年間医療設備の評価を行う仕事をしていた。そのような経験は彼をリベリアの状況に精通させ、健康セクターが直面する問題、特に医療設備に関する非常に性格なアイディアを与えたのである。社会企業は、既存の社会経済構造とコミュニティを念頭に置いて構築されなければならない。これはエリザベス・ディアボーン・ディヴィスがルワンダでのプロジェクト・エイキラーにおいて行ったことだ。このプロジェクトは若い女性とその家族を貧困から引き上げるための意義ある雇用を見つけるために、彼女達に技術と訓練を提供している。2007年にプロジェクトを始める前に、ディヴィスはルワンダで一年間働いていた。彼女は数ヶ月を調査に費やし、正確にどの分野に訓練を集中させるべきか、様々な組織やビジネスリーダーと対話した。この準備作業のお陰で、彼女は観光業界が国で最も急速に成長しているセクターだということに気がついたが、そこには人的資源に大きなギャップがあった。「もし根本的な目標が仕事なら、雇用主に耳を傾け、私たちが重要だと思う信念や技術に基づいた方法ではなく、実際に役立つ方法で、雇用主のために人々を訓練することを心がけなければなりません。」コミュニティをプロジェクトの指導や計画策定、実施に巻き込むこともまた、そのプロジェクトを持続可能にする方法の一つだ。コミュニティの複雑性を全て把握することで、状況が変化した際に社会起業家がより柔軟に対応できる。また、そのようなアプローチはコミュニティに所有者意識を持たせ、ある時点から彼ら自身がプロジェクトを引き継ぐことを可能にする。これこそ真の持続可能な開発なのである。地元の行政組織とパートナーを組む最低限、社会起業家は省庁やプロジェクトの分野(保健や観光、教育セクターなど)の最優先事項を把握すべきである。「私たちのプロジェクトが彼らの短期、長期計画に合致していればいるほど良いのです。」とマンチャンダは言う。こうすることにより、資源は効率的に使用され、努力の重複もまた避けることができる。しかし社会起業家の目的が地元行政組織の目的と合致しなかった場合、パートナー関係は逆効果を招くかもしれない。投資家とクライアントに強い議論で挑む資金援助を求めている際には、投資家やクライアントにプレゼンテーションするための強い議論を持つ事が重要である。もしプロジェクトが既に実施されている場合、社会起業家はそのプロジェクトが上手く進んでいることを示す強力なデータや数字を持つべきだ。ワン・ディグリー・ソーラーを通じて、NGOや政府にソーラー発電機器を販売している。確かなデータを提供することで彼のクライアントに、その投資にリターンが得られていることを知らせている。彼は説明する。「我々は実施パートナーに対し、そのプログラムにとって重要な便益を追跡できるよう、モニタリングツールを創り続けたいと考えています。例えば、私たちは地元のヘルスワーカーにソーラー光を供給していますが、モニターツールはそのヘルスワーカーが毎日何人の患者と会い、毎晩その光を使用して何時間仕事を行い、もし患者が次の朝クリニックまで歩いて行かなければならなかった時、健康診断結果は変化したのかどうかを記録しています。」確かなデータを提供する一方で、結果を測定し成功を証明する能力のみならず、明確な戦略と明瞭に定められた結果を持つことは有用である。しかしながら、もしプロジェクトが始まったばかりである場合、受益者からのコメントや彼らの参加は必要不可欠である。真の社会起業家であれ社会起業家は適切なビジネス実践の基礎が必要である。もし企業が収入を生み出しているなら、キャッシュフローや支払給与の管理と同様に、バランスシートの読み方を知ることは重要だ。社会事業でしか働いたことのない人にとって、それはチャレンジだろう。「ビジネス経験がないためにこうした訓練を受ける仲間もいます。」とフォルノフは言う。「特に一人で立ち上げた社会企業の場合、それは必要不可欠なのです。」そのような技術を学ぶ事はまた、社会企業が経済的持続可能性をもたらすビジネスモデルを見つけ出すことを手助けし、営利事業を目指す際にドナー(資金提供者)への依存を軽減させることに役立つだろう。「私たちの目標は自己収入を生み出し100%持続可能になることです。」とガティカは言う。「地域密着型観光イニシアチブによるパッケージの販売を通じて、私たちはわずかな手数料をもらっています。この歩合制によって、スタッフ雇用にかかる経費の支払を可能にする収益モデルが成り立つのです。」
JPN