人道支援の仕事：理想の候補者像

人道支援分野のエントリーレベルの仕事を見つけるのは簡単である。有給ポジションは大抵「プログラムアシスタント」や「プログラムマネージャー」などと呼ばれており、本部やフィールドにいるスタッフのサポートが主な業務内容だ。 プログラムアシスタントは通常、リサーチやプロポーザル作成、データベースの管理・開発、メールのやり取り、渉外イベントの準備や顧客対応などの業務を行う。この場合、当然のことながら、事務作業やオフィス関連スキルを持った候補者が優位である。 ではこのようなスキル以外に、人道支援分野のフルタイムのポジションではどのような素質が求められているのだろうか。採用担当者は、自分が応募する役職によって履歴書やカバーレターの書き直しを薦める。学歴や海外経験、語学力などをハイライトすると同時に、柔軟性や適応性の高さを示すようなものにするためだ。 学歴 エントリーレベルのポジションは通常、学士号（BA）が最低要件 であるが、組織によっては、特定のトレーニングやバックグラウンドを持つ上級学位を必要とするところもある。「修士号を持っている候補者が優先されることもあります」とジョナサン・マーカス氏は言う。「とはいえ通常は学士号で十分です。」 マーカス氏は米国赤十字の人事ディレクターを務めている。彼は更に、『関連分野』での学位は売り込む価値があるものの、「一般的な学位は必ずしも業務に通じるわけではない」と言う。人道支援キャリアの関連分野というのは、国際関係、公衆衛生、ビジネス、コミュニケーション、ロジスティクス、ファイナンスなどだ。 海外経験 人道支援では世界の至るところにあるフィールドをカバーする。それゆえ、異文化での生活や旅行経験は、重要な資産として非常に高く評価される。「海外での経験が最低6ヶ月ある人を探しています」とスイス系NPOのMedairで米国代表を務めるロジャー・サンドバーグ氏は語る。 それほどの海外経験を持っていない人は、アフガニスタンやスーダン、コンゴ共和国などの人道支援のホットスポットについて学ぶことをおすすめする、とセルギブ・ジグロフ氏は言う。「これから一緒に働くことになる人たちが今いる地域について調べて学ぶんだ」と、Counterpart International のロジスティクス専門家はアドバイスする。「将来一緒に働きたいという人たちの経歴を学んで、違いを理解できるようにしておくんだ。」 Catholic Relief Servicesの採用チームを率いるグレン・オスモス氏は、国内でも「支援が必要な人々に関する仕事」の経験があれば大丈夫だと話した。 語学力 世界中でオペレーションを回す必要性から、人道支援組織はフランス語、スペイン語、アラビア語、中国語などの各国語が操れるスタッフを必要としている。「ラテンアメリカやカリブ海地域では、スペイン語やフランス語は必須です」とマーカス氏は語る。更に、「例えば、米国赤十字はハイチで活動しているからフランス語ができると役に立つ。同時に我々は、フランス語や英語が多く話されるアフリカでも活動している。」 Medairのオペレーションは英語で行われるが、マダガスカルとコンゴ共和国のスタッフにはフランス語を必須としている。サンドバーグ氏は、「語学が得意で、学ぶのが好きな人は最適」と言う。人道支援組織で働くにあたり、1つ以上の国際的な言語が必ずしも必須というわけではない。けれど、語学力があるほど売り込みやすいのは確かだ。 柔軟性と適応性 ダイナミックで不安定な人道支援の仕事の中で、柔軟性と適応性は非常に重要である。「日々の生活にストラクチャーや日課を必要とする人には、人道支援セクターは非常に難しい仕事です」とサンドバーグ氏は言う。 International Rescue Committeeの組織発展ディレクターであるカーリー・シドロス氏は、回復力の高さも大切だと言う。「いつ休めばよいのかちゃんと理解していて、自分と自分のスタッフの面倒をしっかりみれる人が必要です」と説明する。「極度の疲労で燃え尽きる人を沢山見ているので、人の世話がしっかりできるのは重要だと思うのです。」と彼女は言った。 JPN