国際協力分野におけるキャリア形成について（４）履歴書（CV）と志望動機の作成

前項までにこの業界の全体像や求人情報の所在、そして各種の職種について説明してきました。本項では、自身が働きたい組織や職種がある程度絞られ、先方が要求している学歴や職歴、資格や経験などを満たしているという前提で、そうした求人機会に応募する際に最も重要な資料である履歴書（CV）及び志望動機の作成方法や心構えについて説明します。 １．履歴書（CV） 企業や組織の採用担当者が応募者を選考する際に最も重視する資料であり、その出来不出来が採用の可否を決定すると言っても過言ではありません。当然ながら、求人機会を提供している企業／組織について良く研究した上で作成する必要があります。国内外の援助機関や企業、NGO等、求人情報を提供する組織毎に異なるフォーマットがあるため、先方が要望する履歴書のフォーマットに沿った形で資料を作成すること。なお、当たり前のことですが、先方が要求している学歴や職歴、資格、専門性、経験などを満たしている場合に限り応募し、応募する場合にはそうした先方のニーズを分かりやすく強調する形で履歴書を作成することを心がけて下さい。 資料を作成する際は、自身の専門性や経験を最大限盛り込み、積極的にアピールする必要があります。もちろん実際に面接を行った際にばれるような嘘や誇張を盛り込むことは問題があり逆に評価を下げることになりますが、多くの応募者があるような場合には、採用担当者は全ての応募書類をじっくり検討しているケースばかりでは無いので、アピール出来るものはしっかりとアピールし、先方の目に留まるような工夫をする姿勢を持つ事が重要です。 ２．志望動機 求人機会に応募する際に履歴書とセットで要求されるケースが多いものです。履歴書と同様に、求人機会及び求人を提供している企業／組織について良く研究した上で、自分がこれまで学んだことや経験したこと、今後自分がやっていきたいことと今回の求人機会との関係、求人機会において自分が貢献出来ることや達成出来ること、の3点は最低抑え、熟慮した上で作成すること。勿論求人機会毎に求められている内容や制限に沿った形で要領良く盛り込むことを心がけて下さい。何度も推敲を重ねると共に、友人や家族、国際協力業界に働く知り合い等、相手の迷惑にならない程度で出来るだけ多くの人にコメントをもらうと、内容の不具合や説得力の弱い部分が明らかになり、内容が充実します。 本資料は、日本の組織の場合には、履歴書と共に提出するよう明示的に求人情報に掲載されているケースが多いですが、海外の場合には必要書類（Application）を提出とのみ記されているか、あるいはカバー・レター（Cover letter）を提出するようにと書かれているケースが大半です。特に志望動機の書類を提出するように明確に書かれていない場合には、上記カバーレターに志望動機を記入し提出して下さい。 最後に履歴書について付け加えたいことがあります。本資料は、こうした求人機会を探す時のみならず、既に組織で働かれている場合であっても、自身のこれまでのキャリアを振り返り、自分に現在足りないものを見極めた上で、今後のキャリアパスを見直す際の重要な出発点になるものです。そのため、キャリアパスのどの段階にあったとしても、折に触れて自身の履歴書を見直し、今後その内容を充実させるにはどうしたら良いか、何が足りないのか、ということを掘り下げ、自身の目指すキャリアを積み上げて行く心構えが重要となります。