いまでこそ女性のエンパワーメントについて論じるならば、経済力の獲得および生活基盤の構築を重視した視点は不可欠だが、その背景にはマイクロファイナンスによる支援形態の出現があったことは間違いないだろう。
ドナーからすれば成果の見えない一方通行の援助と異なり、マイクロファイナンスでは、投資した資金が持続性をもつだけでなく、収益を上げもする。マイクロファイナンスのパイオニアでもあるグラミン銀行の成功は、開発業界にとって画期的であった。
日本の開発コンサルティング会社、㈱アイ・シーネットにシニアコンサルタントとして勤める粟野晴子さんもまた途上国の経済問題を研究する中で、女性の問題への関心を抱くようになり、次第にマイクロファイナンスに注目するようになったが、その経緯についてこう述べる。